「生命保険って、結局どれを選べばいいの?」そう感じたことがある方は多いのではないでしょうか。保険の種類は多岐にわたり、どれも一見必要そうに見えるからこそ、迷いやすいのが現実です。
しかし、ライフステージや価値観に合った保険を選べば、無駄なく将来に備えることが可能になります。生命保険の選び方のポイントを押さえることで、保障の過不足を避け、安心感と納得感のある保険選びが叶うのです。
本記事では、生命保険の種類の違いから、年代別・ライフスタイル別の選び方までをわかりやすく解説します。後悔しない保険選びをしたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
知っておきたい生命保険の種類
生命保険と一言でいっても、その種類は目的によって多岐にわたります。自分に合った保険を選ぶためには、まず「なぜ保険に入りたいのか」を明確にすることが大切です。
ここでは、生命保険の選び方の前提として押さえておきたい、目的別の保険種類について詳しく紹介します。治療費や教育費、老後の備えなど、ニーズに応じた保険の違いを理解することで、自分に本当に必要な保障が見えてきます。
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万が一に備える保険
死亡や高度障害といった“万が一”に備えるための保険は、生命保険の中でも最も基本的なもののひとつです。
終身保険、定期保険、収入保障保険、養老保険などがあり、いずれも被保険者が亡くなった際や所定の高度障害状態になった際に、遺族へ保険金を支払う仕組みになっています。
保障期間や受取方法、貯蓄性の有無などが商品ごとに異なるため、将来に備える目的や家族構成、予算に応じて選ぶことが重要です。
種類 | 内容 |
---|---|
終身保険 | 一生涯保障が続き、解約時には期間に応じた返戻金も受取れる貯蓄性のある保険。 |
定期保険 | 一定の期間のみ保障される掛け捨て型。保障期間が終わると保険金は受け取れない。 |
収入保障保険 | 万が一の際に、保険金を年金のように毎月受け取れる家族向けの保障。 |
養老保険 | 死亡時も満期時も保険金が受け取れる、貯蓄と保障を兼ねた保険。 |
治療費や生活費に備える保険
病気やケガによる治療費や収入の減少に備える保険は、現役世代にとって特に重要な保障のひとつです。
医療保険やがん保険は、入院・手術・通院などの医療費をカバーし、就業不能保険は長期の療養による収入減に対応します。
健康リスクへの不安を軽減し、治療に集中できる環境を整えるためにも、これらの保険は早めに検討しておきたい選択肢です。
種類 | 内容 |
---|---|
医療保険 | 病気やケガによる入院・手術・通院などの治療費をカバーする基本的な保険。 |
がん保険 | がんに特化した保険で、診断・治療(入院・通院・手術)に対して給付金を受け取れる。 |
就業不能保険 | 病気やケガで働けなくなった場合に、生活費を補うための給付金が受け取れる保険。 |
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介護が必要になった時の備える保険
将来的に要介護状態になった場合に備えられるのが、介護保険です。
一時金や年金形式で給付金を受け取れるタイプがあり、公的な介護保険ではカバーしきれない経済的な負担を補う役割を担っています。
高齢期の生活に不安を感じている方は、老後資金の一部として検討する価値がある保険です。
老後資金に備える保険
長生きすることによる経済的な不安に備えるために活用されるのが、個人年金保険です。
一定の年齢まで保険料を支払ったのち、老後に年金形式で受け取れる仕組みで、公的年金だけでは不安という方にとって心強い選択肢となります。
受取方法には終身型・一定期間型があるため、自分のライフプランに合わせた設計がポイントです。
子供の教育に備える保険
将来の教育資金を効率よく準備する手段として人気が高いのが、学資保険です。
満期保険金や進学時の祝金の受け取りに加え、契約者が万が一の際には保険料の支払いが免除されるなど、万全のサポート体制が整っています。
子どもの将来の選択肢を広げるためにも、早い段階から検討することをおすすめします。
失敗しない生命保険の選び方
生命保険の選び方を間違えると、必要なときに十分な保障が得られなかったり、保険料が家計を圧迫してしまったりする恐れがあります。後悔しない保険選びのためには、自分に必要な保障の内容と目的を明確にし、それに応じて保障期間・保障額・保険料を適切に設計することが重要です。
ここでは、生命保険を選ぶうえで押さえておきたい4つの基本ステップについて詳しく解説します。
1. 保険加入の目的を明確にする
まず最初に行うべきことは、生命保険に加入する「目的」をはっきりさせることです。万が一のときに遺族の生活を守りたいのか、自分の医療費に備えたいのか、それとも老後資金や子どもの教育費を準備したいのか。目的が異なれば、選ぶべき保険の種類も異なります。
また、家族構成や年齢、現在の収入状況などによって必要な保障は変わるため、自分や家族にとって本当に必要なリスクに優先順位をつけて整理しましょう。加入の動機を明確にすることで、無駄のない保険選びができるようになります。
2. 保障される期間を決める
目的に応じて必要な保障が見えてきたら、次に考えるのは「いつまで保障が必要か」です。保障期間には、一定期間のみをカバーする「定期型」と、生涯にわたって保障が続く「終身型」があります。
たとえば、お子さまの独立までを見据えた期間限定の備えであれば定期型、葬儀費用や相続対策を含む長期的な保障を求めるなら終身型が適しています。保障が必要な時期や目的をふまえて、最適な期間を選ぶことが失敗しない保険選びにつながります。
3. 目的に応じた保障額を決める
次に考えるべきは「いくら保障が必要か」です。死亡保障なら、遺族の生活費・教育費・住宅ローンの残債などをカバーできる金額を、医療保障であれば、入院・手術などにかかる費用を想定して保障額を設定します。
保障額を過剰に設定すると保険料が高くなり、逆に少なすぎると十分な備えになりません。支出と収入のバランスをもとに、「必要なときに、必要な金額が届く」ように設計することが大切です。
4. 保険の払込金額と期間を決める
最後に、無理なく支払える保険料であるかどうかを確認し、払込期間も含めて検討しましょう。保障内容が充実していても、保険料が家計の負担になれば長く継続することは困難になります。
必要な保障と支払い能力のバランスが合わない場合は、払込期間を延ばす、保障額を調整するなどの工夫も有効です。保険料は長期にわたる固定費となるため、将来のライフプランも視野に入れて慎重に設計しましょう。
年代別×独身|最適な生命保険選びの考え方
独身の方が生命保険に加入する際は、年齢や生活状況に応じて備えるべきリスクが異なります。そのため、年代別にどのような保障が必要かを把握し、自分に合った保険を選ぶことが重要です。
ここでは、20代・30代それぞれの独身の方向けに、失敗しない生命保険の選び方のポイントを解説します。
20代で独身の生命保険の選び方
20代独身でも、医療や収入減への備えを考えることが大切です。
若くて健康に自信がある方も多い20代ですが、突然の病気やケガで仕事を休むリスクはゼロではありません。医療費や生活費の負担に備えることは、早いうちから意識しておくとよいでしょう。
たとえば、入院や手術に対応する医療保険や医療特約は、治療費の自己負担を軽減できます。がん保険やがん特約も、20代から罹患率が高くなる子宮頸がんなどの病気に備える選択肢として有効です。特定の重篤な病気に絞って保障する特定疾病保障保険も検討対象になります。
さらに、長期の療養で収入が減るリスクには、就業不能保険や所得補償保険が役立ちます。独身であっても、高齢の親や子どもを扶養している場合は、死亡保険の検討も必要です。
このように、20代独身の生命保険の選び方は、「病気・ケガによる経済的なリスクに備える」が基本軸となります。
30代で独身の生命保険の選び方
30代独身は、病気・就業不能リスクへの備えを強化しましょう。
30代になると、20代と比べて病気やケガのリスクが高まる傾向があり、将来への備えがより重要になります。
具体的には、入院・手術時の医療費をカバーする医療保険や医療特約が引き続き有効です。がん保険やがん特約も、がん治療にかかる高額な医療費を補う手段として検討できます。高額療養費制度の存在は心強いものの、民間保険を組み合わせることで経済的負担をさらに軽減できます。
また、就業不能保険や所得補償保険は、長期の休職による収入減少リスクに備える手段としておすすめです。退院後の療養期間中の生活費もカバーできるため、医療保険との組み合わせで安心感が高まります。
独身でも、扶養家族がいる場合には死亡保障も視野に入れて保険を検討しましょう。
30代独身の生命保険の選び方は、「将来リスクの増大に合わせて保障内容を厚くする」が大きなポイントです。
年代別×家族|最適な生命保険を選ぶコツ
家族がいる場合の生命保険の選び方は、万が一に備えた「遺された家族の生活を守る保障」を中心に考える必要があります。家族構成や収入、今後の支出を踏まえ、どれだけの保障が必要なのかを把握することが大切です。
ここでは、20代・30代それぞれの家族持ち世代に向けて、最適な保険の考え方を紹介します。
20代でご家族がいる場合の生命保険の選び方
家族を守るためには、万が一のときの生活費を補う死亡保障が欠かせません。
20代で配偶者や子どもを扶養している場合、あなたに何かあったとき、残された家族の生活を経済的に支える手段が必要です。
具体的には、公的遺族年金や配偶者の収入、預貯金などを確認し、不足しそうな分(必要保障額)を民間の死亡保険でカバーします。必要保障額は、家族が将来必要とする生活費や教育費などから、見込まれる収入や資産を差し引くことで算出できます。
若いうちは保険料も安く抑えられるため、必要な保障額をしっかり確保しておくことが安心につながります。生命保険の選び方のポイントは、今後のライフプランを見据えた保障設計にあります。
30代でご家族がいる場合の生命保険の選び方
30代で家族を支える立場なら、死亡保険で生活基盤を守ることが最優先です。
住宅ローンや教育費、子どもの将来にかかる支出など、30代は家族のライフステージが進行する重要な時期です。この時期に万が一が起きたとき、のこされた家族の暮らしが大きく揺らぐ可能性があります。
そのため、公的遺族年金や預貯金、配偶者の収入などを考慮しつつ、不足する保障を民間の死亡保険で補う設計が求められます。必要保障額の考え方は20代と同様に、「将来の必要支出 − 予測される収入・資産」の差額です。
保障の手厚さと保険料のバランスを見極めながら、無理のない範囲で必要な保険に加入することが、30代家族持ちの賢い生命保険の選び方です。
生命保険料の平均保険金額と平均払込保険料
生命保険の選び方の一環として、他の人がどの程度の保険金額や保険料で加入しているかを知っておくことは、自分に合った保険を選ぶための参考になります。とくに20代・30代は、収入やライフステージの変化に応じて保障内容も見直すべき時期です。
ここでは、世代別の平均値をもとに、保険金額や保険料の目安を紹介します。
20代の平均保険金額と平均払込保険料
出典:2024(令和6)年度生命保険に関する全国実態調査 51ページ
20代で生命保険を検討する際には、平均金額を参考にしながら、自分のライフスタイルに合った保障内容を考えることが大切です。
なぜなら、20代はまだ収入も限られる一方で、医療リスクへの備えを始めるには適したタイミングだからです。
実際、生命保険文化センターの調査によれば、29歳以下の普通死亡保険金の平均額は1,747万円、入院時の疾病給付金日額は7,400円とされています。また、年間払込保険料の平均は32.2万円です。
このようなデータを目安にしながら、自分の収入・生活費・働き方などを踏まえて、必要な保障と無理のない保険料のバランスを取ることが、20代の生命保険の選び方のポイントです。
30代の平均保険金額と平均払込保険料
出典:2024(令和6)年度生命保険に関する全国実態調査 51ページ
30代では、保険金額・保険料ともに20代より高くなる傾向があるため、自分の家計とリスクに合った設計が重要です。
その理由は、結婚・出産・住宅購入といったライフイベントが多く、経済的責任が増える時期だからです。
同調査によると、30代の普通死亡保険金の平均額は2,488万円です。疾病入院給付金は9,200円、年間払込保険料も30.5万円と20代より全体的に高い結果となっています。
これらの平均額を参考にしつつ、ご自身の収入や支出、家族構成や将来の見通しに応じて優先順位をつけて保険を選ぶことが、30代の正しい生命保険の選び方といえるでしょう。
生命保険は定期的な見直しが失敗を防ぐ
生命保険の選び方で大切なのは、加入して終わりではなく、定期的に見直すことです。
なぜなら、ライフステージや経済状況の変化によって、必要な保障内容も変わっていくからです。
たとえば、結婚や出産、住宅購入、定年など、人生の節目では家族構成や支出に変化が生じ、以前に加入した保険が今の自分に合わなくなっているケースもあります。見直しによって、保障内容を最適化したり、保険料の負担を抑えたりすることが可能になります。
だからこそ、保険の更新時やライフイベントのタイミングで、現在の保障が今の生活にふさわしいかを確認することが重要です。
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生命保険を見直す必要性
生命保険は「一度入ったら終わり」ではなく、人生の変化に応じて見直すべきものです。
その理由は、20代・30代と年齢が若いうちはリスクへの実感が薄いことが多く、保障が過剰または不足している場合があるからです。
たとえば、独身時代には必要なかった保障が、結婚・出産・住宅購入といったライフイベントを経て必要になるケースは珍しくありません。逆に、当初想定していた保障が不要になる場合もあります。
定期的な見直しによって、自分にとって適切な保障の範囲や保険料を再確認し、無駄なく備えられるのが賢い生命保険の選び方です。
ライフイベントごとの保険見直しのタイミング
保険の見直しは「何かが変わったとき」がベストタイミングです。
なぜなら、ライフイベントは保障ニーズが変化する節目であり、今の保険が合っているか確認する絶好の機会だからです。
たとえば、就職・結婚・出産・住宅購入・子どもの独立・定年退職などが代表的な見直しのタイミングです。住宅購入時には団体信用生命保険(団信)に加入するケースも多く、その分死亡保障を減らせることがあります。一方で、団信はローンを免除する保険であり、生活費や教育費の保障にはならないため、必要な保障は残しておくべきです。
また、保険の更新時にも、10年以上前の契約内容が現状にそぐわない場合があります。
こうしたタイミングで保障内容を見直し、必要であれば他の保険商品へ切り替えることが失敗を防ぐ生命保険の選び方です。
保険料が負担になったときの見直し方法
保険料が家計を圧迫している場合でも、保障内容を維持しながら負担を軽減する方法があります。
その理由は、同じ保障内容でも、保険の種類によって保険料に差があるためです。
たとえば、終身保険や養老保険から、掛け捨て型の定期保険に見直すことで、貯蓄性はなくなるものの保険料を大幅に抑えることができます。保障額を減らさずに、保険料だけを下げたい場合には有効な選択肢です。ただし、貯蓄性や解約返戻金などを重視している場合は、見直しの影響を慎重に検討する必要があります。
「保障を減らさずに保険料を見直す」という視点は、バランスのとれた生命保険の選び方において非常に有効です。
生命保険の選び方のまとめ
生命保険の選び方で最も重要なのは、「目的に応じた保険を、自分の生活に無理なく続けられる形で選ぶこと」です。
その理由は、生命保険には多様な種類があり、必要な保障内容や金額は人によって大きく異なるためです。保険商品を比較するだけでは不十分で、「誰のために、何のリスクに備えるのか」を明確にしたうえで、保障期間や保険料の負担、払込期間などを総合的に検討する必要があります。
たとえば、独身であれば医療費や就業不能への備えを重視し、家族がいる場合は死亡保障や教育資金への対応が必要になります。また、人生のステージが変わるごとに保障の優先順位も変化します。
そうしたなか、簡単な質問に答えるだけで自分に合った保険が診断できるサービス「ほけチョイス」などを活用すれば、迷わずスムーズに保険を比較・選定することが可能です。プロの営業担当による補足説明や見積書作成によって、納得感のある保険選びができる点もメリットです。
生命保険の選び方は一度きりではなく、結婚・出産・転職・定年など、人生の節目ごとに見直すことも忘れずに。今の生活や将来の不安にしっかり備えるために、定期的な見直しを習慣にしていきましょう。