60代の保険見直しは必要?今の保険の見直し方とポイントを解説

60代を迎えると、定年退職や子どもの独立といった大きなライフイベントが訪れ、生活環境が一変します。「もう保険は必要ないのでは?」「このまま加入を続けていて大丈夫?」といった疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。

医療費や介護のリスクが現実味を帯びてくるこの年代こそ、これまでの保障内容が今の自分に本当に合っているのかを見直す絶好のタイミングです。

これから先の人生を安心して過ごすためにも、60代ならではのリスクや家計状況をふまえた保険の見直しは欠かせません。今の保険が過剰でないか、逆に不足していないか、生活に無理なく続けられる内容か、今こそ改めて確認してみませんか?

この記事では、60代からの保険の必要性、考えておくべきリスク、見直しの方法やポイントまで、わかりやすく解説していきます。自分に本当に必要な保障を知り、無駄なく安心できる備えを整えていきましょう。

そもそも60代からの保険は必要?

人生100年時代を迎えた今、60代は「老後の入口」ではなく「新たなライフステージのスタート」として、多くの人が活動的に過ごす年代です。

その一方で、定年退職や子育ての終了など、大きな節目を迎えることも多く、家計や健康面での変化が生じる時期でもあります。そのような背景から、60代からの保険の必要性を考える人が増えています。

実際、厚生労働省の「簡易生命表(令和5年)」によれば、日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性87.14歳とされており、60代はまだまだ先の人生が長く続く年代です。

ライフステージが変わるこのタイミングで、保障内容が現状に合っているかを確認し、必要があれば見直しを行うことが大切です。また、60代からでも加入できる保険は存在しますが、年齢に応じて保険料が割高になる傾向があるため、早めの対応が望ましいでしょう。

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60代の生命保険加入率

60代の多くの人が、生命保険に加入しています。二人以上の世帯では、生命保険の世帯加入率が90%を超えており、多くの家庭で保障が整えられていることがわかります。

一方、単身世帯では加入率が約60%にとどまり、世帯構成によって保険加入状況に差が見られます。

年齢 2人以上世帯 単身世帯
60~64歳 91.4% 57.3%
65~69歳 95.2% 60.4%

出展:2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査|生命保険文化センター

また、60代の夫婦世帯においては、夫婦ともに保険に加入しているケースが80%以上と高い水準です。ただし、夫婦ともに未加入という世帯も約5~7%程度存在しており、解約や満期を迎えた後に再加入を選ばない人が増えている傾向があります。

60代の月々の保険料の平均

次に、60代の生命保険の保障内容と保険料の実態を見てみましょう。生命保険文化センターの調査によると、60代の平均死亡保障額は男性で1,071万円、女性で507万円と、男女で大きな差があります。

医療保障については、入院1日あたりの給付額は男女ともに1万円前後が一般的で、大きな差は見られません。

保険料については、男性の年間払込額が212,000円(月額17,500円)、女性が159,000円(月額約15,583円)、男女平均では年間182,000円(月額約15,167円)となっています。

これらの数値は、老後に向けて保障を絞りつつも、一定の備えを維持している人が多いことを示しています。

60代から保険の見直しが必要になる理由

60代に入ると、定年退職や家族構成の変化など、これまでとは異なるライフステージへと移行します。こうした変化に合わせて、これまでの保険の内容が現在の自分に合っているかを見直すことが重要になります。

今の生活や将来を見据えて、必要な保障を適切に整えるためにも、60代での保険の見直しには大きな意味があります。

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60代で保険を見直す理由

保険は、自分や家族の病気やケガ、死亡といったリスクに備えるための手段です。しかし、60代になると子どもの独立や退職など、生活環境が大きく変化する時期でもあります。

たとえば、扶養家族が減れば死亡保障の必要性は低くなる一方、自分自身の医療・介護への備えがより重要になります。こうした状況に応じて保障内容を見直すことで、今の自分にふさわしい保険を整えることができます。

60代で保険を見直すメリット

60代で保険を見直すことには、多くのメリットがあります。
まず、自分のライフスタイルやリスクに見合った保障に絞ることで、保険料の支出を抑えることができます。

また、不要な保障を減らし、必要な部分にだけ備えることで、保障のバランスが最適化されます。その結果、月々の保険料を抑えつつも、将来の不安に備えることが可能になり、経済的にも精神的にも安心感が得られます。

60代で想定すべき3つのリスク

60代を迎えると、これまでとは異なる新たなリスクが現実的なものとして迫ってきます。これらのリスクにしっかり備えることが、老後の安心と安定した暮らしにつながります。

ここでは、保険を見直すうえで特に注意すべき3つのリスクについて解説します。

1. 医療・入院費の増加リスク

60代になると、子どもの教育資金などの負担が減る一方で、自身や配偶者の医療リスクが高まる時期です。厚生労働省「令和5年(2023)患者調査」によれば、40代・50代と比べて60代では受療率(人口10万人あたりの入院・通院者数)が大きく上昇しています。

若いころは健康そのものだった人でも、加齢に伴って生活習慣病や内臓疾患を発症しやすくなり、入院や通院の機会が増える傾向にあります。

また、骨粗しょう症や筋力の低下により、転倒・骨折といった外傷のリスクも高まります。これらの医療費を自己負担するとなると、家計への負担は大きいため、医療保険などの見直しが重要です。

2. がんの罹患リスク

60代に入ると、がんに罹患する確率も顕著に上がります。国立がん研究センターが公表する「がん統計」(2021年)によると、がんの罹患率は55〜59歳では10万人あたり672.4例、60〜64歳では982.6例と大幅に増加します。

がん治療は長期化するケースも多く、手術・抗がん剤・通院費・生活支援サービスなどの費用が家計を圧迫することもあります。公的医療保険だけではカバーしきれない出費に備えるためにも、がん保険の加入や内容の見直しを検討することが賢明です。

3. 要介護となるリスク

年齢とともに増えてくるのが、要支援・要介護状態になるリスクです。高齢になると、脳血管疾患や認知症などをきっかけに、日常生活に支援が必要になる可能性が高まります。
介護が必要になると、介護施設や訪問介護サービスの費用負担が発生しますが、公的介護保険だけではまかないきれないケースも少なくありません。

民間の介護保険で備えることで、家族への経済的・身体的な負担を軽減できます。60代のうちに保険を見直しておくことで、将来的な安心につながります。

60代で見直すべき保険の種類

60代になると、ライフスタイルや健康状態、経済状況が大きく変化するため、今の自分に合った保障内容を見直すことが重要です。

ここでは、60代から見直したい代表的な保険の種類を取り上げ、それぞれの特徴や必要性について詳しく解説します。

医療保険

60代以降は病気やケガのリスクが高まるため、医療保険の必要性が増します。医療保険は入院や手術などにかかる費用の自己負担を軽減するための保険で、60代になると加入や保障内容の見直しを行う人が増えてきます。

公的医療保険による自己負担は所得に応じて1〜3割、高額療養費制度による助成もありますが、先進医療の費用や差額ベッド代、入院中の食事代などは対象外です。こうした費用に備えるためにも、民間の医療保険で補完することが重要です。

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介護保険

将来介護が必要になったときに備える保険が、民間の介護保険です。公的介護保険では介護サービスを受けられるものの、自己負担やサービスの限界もあるため、経済的リスクを軽減する手段として民間保険の活用が有効です。

一定の要介護状態が継続した場合に一時金や年金が支払われる商品が多く、認知症特約や払込免除特約がついているものもあります。60代以降は介護の可能性が高まるため、未加入であれば検討、すでに加入している場合は保障内容を見直しておくと安心です。

傷害保険

日常生活の中で発生するケガへの備えとして有効なのが傷害保険です。死亡や入院・通院・手術などが補償対象となり、特に60代からは転倒や骨折といったリスクが増加します。

加齢による身体機能の衰えが影響するため、傷害によるリスク対策として補償内容の点検・見直しをする価値があります。

死亡保険

死亡保険は、自身の死後に家族の生活費や葬儀費用をまかなうための保険です。60代では、子育てが一段落した人も多く、高額な死亡保障が不要になるケースもありますが、最低限の保障を残す目的で見直しが行われます。

定期保険は一定期間のみ保障されるため、60代からの加入では満期が近くなり更新が困難になる可能性があります。

一方、終身保険は一生涯の保障が得られ、解約時に返戻金を受け取れるのが特徴ですが、保険料は同じ保障内容の定期型より割高です。目的や家計状況に応じた選択と、保険会社への確認・相談が重要です。

がん保険

がん保険は、がんに特化した保障を提供する保険で、診断・入院・手術・通院などに対して給付金を受け取れます。がん罹患リスクが高まる60代では、保障の重要性が増し、医療費や治療にかかる費用の不安を軽減する手段となります。

治療費以外にも、生活費や交通費などの間接的出費が生じるため、経済的備えとしてのがん保険は効果的です。新たに加入する場合も、既存契約の保障見直しをする場合も、保障範囲や金額のバランスに注意しましょう。

60代におすすめな保険の見直し方

60代に入ると、身体の変化や家族構成の変化、退職などを背景に、これまでと同じ保険で良いのか見直しの必要性が高まります。特に年金生活に移行する人が多くなるなかで、保険料の支出が家計を圧迫することもあるため、現状に即した見直しが重要です。

近年では、老齢基礎年金の受給額も減少傾向にあり、2022年度には前年度比で0.4%の引き下げが行われています。将来に備えつつ無駄を省くためにも、60代の今こそ保険の見直しが求められる時期です。

ここでは、60代から実践すべき保険の見直しポイントを4つに絞って解説します。

1. 加入中の保険内容を確認する

まず行うべきは、自分が現在加入している保険の内容を把握することです。保障の内容や保険金額、保険料、保障期間などは、保険証券や契約時の書類に記載されています。

特に更新型の保険に加入している場合、今後の保険料が大きく上がる可能性もあるため、契約条件を改めて確認しましょう。保障が今の自分に適しているか、過剰や不足がないかを見極めるのが第一歩です。

2. 現在の生活状況を把握する

保険の見直しには、自分自身の今の生活状況をしっかりと把握することが欠かせません。たとえば、すでに子どもが独立していれば、高額な死亡保障は不要となる一方、葬儀費用や配偶者の生活費に絞った保障が必要になります。

また、住宅ローンが残っている場合や配偶者の医療・介護費が懸念される場合は、その点をカバーする保険の検討が求められます。ライフステージの変化をもとに、保障を厚くすべき部分と抑えて良い部分を精査しましょう。

3. リスクが高くなる保険を充実させる

60代になると、がんや生活習慣病、慢性疾患のリスクが高まり、医療費の支出も増加傾向にあります。そうしたリスクに備えるため、医療保険やがん保険の保障を充実させることが重要です。

もし持病や既往症があって通常の保険に加入しづらい場合でも、引受基準緩和型などの保険を検討することで、保障を確保することが可能です。

また、三大疾病特約や女性疾病特約などを加えることで、将来に備える力を強化できます。

4. 介護保険に未加入であれば検討する

60代から増加するリスクのひとつに介護があります。公的介護保険があるとはいえ、すべての費用をカバーできるわけではありません。

特に民間の介護保険は、一時金や年金形式で給付金を受け取れる商品が多く、家計の助けになります。過去に加入した保険に介護特約が含まれていない場合には、民間介護保険の新規加入や特約の付加を検討しておくと、いざというときに安心です。

60代で保険を見直す際の注意点

60代で保険を見直す際は、保障内容や家計とのバランスだけでなく、見直しによって生じるリスクにも目を向けることが重要です。特に、解約のタイミングや保険料の負担、プロの意見の活用方法など、慎重な判断が求められます。

ここでは、見直しを検討する際に押さえておくべき3つの注意点について解説します。

解約の検討は慎重に行う

保険を見直すときに最も注意したいのが、現在加入している保険を解約してから新しい保険に加入しようとするケースです。先に保険を解約してしまうと、新しい保険への加入審査に通らなかった場合、無保険の状態が生じてしまう可能性があります。

特に、60代は健康状態に変化が出やすい年代でもあるため、持病や通院歴があると新規加入が難しくなることもあります。したがって、新たな保険に無事加入でき、免責期間などを確認してから、既存の保険を解約するという順序を守ることが不可欠です。

無理のない保険料に抑える

どれほど内容が充実した保険であっても、長期的に保険料を支払えなければ意味がありません。見直しの際には、保障内容や期間、金額が自身のニーズに合っているかを確認するだけでなく、その保険料が今後も継続的に支払える金額かを見極めることが大切です。

もし保険料の負担が重いと感じる場合は、保障額の見直しや特約の一部削減などで調整を検討しましょう。生活に無理のない範囲で加入することが、安心して保険を継続するポイントです。

保険相談窓口やプロの意見を活用する

保険の見直しに不安を感じる場合は、専門家のサポートを受けるのも有効です。保険相談サービスでは、複数の保険会社の商品を取り扱っているため、幅広い選択肢の中から自分に合った保険を比較・検討することができます。

また、保険のプロがライフスタイルや健康状態、家計状況をもとに最適なプランを提案してくれるので、納得のいく見直しが実現しやすくなります。一人で悩まず、プロの意見を上手に取り入れることも、60代の保険見直しでは大切なステップです。

60代の保険見直しに関するまとめ

60代は、医療・介護のリスクが現実味を帯びてくる年代であり、これまでの保険が現在のライフスタイルや将来のリスクに合っているかどうか、改めて見直すべき重要なタイミングです。特に、定年退職や家族構成の変化など、生活環境が大きく変わる60代では、保険の保障内容や保険料のバランスを見直すことが、将来の安心につながります。

見直しにあたっては、「必要な保障が分からない」「60代から新たに保険に入れるのか不安」といった声も少なくありません。そのような場合は、スマートフォンやタブレットで簡単に保険診断ができる「ほけチョイス」を活用してみましょう。

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これからの生活に備えて、保険の見直しを通じて保障を最適化することは、家計の見直しにもつながります。60代の今だからこそ、自分に必要な備えを見極め、安心して過ごせる将来を整えていきましょう。

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